信州・長野県は四方を山に囲まれた南北約210 ㎞・東西約120 ㎞という南北に長い地形で、標高も300mから3,000mを超える標高差があり、総面積の約84%が山地や丘陵地で占められる山岳県です。
長野県に源流を持つ8 つの水系があり、大きな河川の流域に平地が広がる一方で、古くから斜面も耕作地とする棚田での耕作も続けられてきました。
日本有数の豪雪地や晴天率が日本一の地域があるなど、気候風土も変化に富んでいます。
信州・長野県では「信州の環境にやさしい農産物」認証、長野県原産地呼称管理制度認証、エコファーマー認定などの施策と、情熱と誇りをもって農業に取り組む研究機関と生産者によってさまざまな農産物を消費者にお届けしています。
「安心・安全・おいしい」だけではない、生産者の誇りを込めたお米を信州の風土が産み出しています。

「地域」

10の地域で地域の環境を生かした稲作が行われています

1

佐久地域

「コシヒカリ」を中心に栽培されています。
浅間山、八ヶ岳、蓼科山などの火山に囲まれた高原地帯。国内有数の晴天率で年間の日照時間が長く、降水量が少ないのが大きな特徴です。
夏は涼しく熱帯夜がほとんどなく、昼夜の気温差が大きい高燥冷涼な地域です。
千曲川が地域の中央を流れており、山々からの豊富な地下水(伏流水)にも恵まれています。
南部は蓼科山系由来の良質な「軟水」ですが、北部の浅間山麓では硬度の高い水が多く、一部では硬度250を超える超硬水という特長があります。

2

上田地域

「コシヒカリ」を中心に「風さやか」も多く栽培されています。
標高差が約2,000mにおよび、菅平高原のような寒冷な高地から、千曲川沿いの平坦地まで豊かな表情を持つ長野県東部(東信地方)の中心的なエリアです。
佐久地域と同様に年間を通じて晴天の日が多く、降水量が少ない乾燥した気候を生かし、「米」「果樹(ぶどう・くるみ・りんご)」「高原野菜」などの多彩な農業が展開されています。
「塩田平」では古くから稲作が盛んで、近年は長野県オリジナル品種「風さやか」などの栽培が盛んです。
「日本の棚田百選」にも選ばれた稲倉(いなぐら)の棚田があります。

3

諏訪地域

「あきたこまち」を中心に「コシヒカリ」、「きらりん」も栽培されています。
標高約760mの高原地帯にあり、雄大な八ヶ岳連峰に抱かれた県内最大の湖・諏訪湖を擁し、水への信仰と文化が縄文時代から脈々と受け継がれている地域です。
豊かな水資源を生かし明治から大正にかけて製糸業が発展、戦後はその製造技術を生かした精密機械工業が集積しました。
諏訪湖周辺の平坦地では清らかな水を使った栽培が行われています。八ヶ岳西麓の広大な高原地帯では冷涼な気候を活かした「高原野菜」や「花き」栽培も盛んで、全国的にも高いシェアを誇ります。

4

上伊那地域

主に「コシヒカリ」が栽培されていますが、酒造好適米の栽培も盛んです。
西の中央アルプス(木曽山脈)と東の南アルプス(赤石山脈)に囲まれた、天竜川沿いの細長い盆地です。
山々からの雪解け水を集めた天竜川が地域の中央を流れ、清冽で豊富な水資源と昼夜の寒暖差が大きい内陸性気候を活かし、「米・野菜・花き・畜産」を組み合わせた複合経営が盛んな全国有数の農業地帯です。

5

南信州地域

「コシヒカリ」を中心に「風さやか」も多く栽培されています。
長野県最南端に位置し、南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かなエリアで、県内では最も温暖で、降雪が少ない穏やかな気候が特徴です。
「果樹」を中心とした多品目複合産地ですが、天竜川沿いの平地や中山間地の棚田を活かした特色ある米作りが行われています。

6

木曽地域

主に「あきたこまち」、「コシヒカリ」が栽培されています。
面積の90%以上が山林で、御嶽山や中央アルプスに囲まれた「木曽谷」に位置する山岳地域です。
深い谷が続く地形の制約から大規模な水田は少ないものの、各所に残る棚田などでは御嶽山や中央アルプスを源流とする清烈な天然水と、山間部特有の激しい寒暖差により、粘りと甘みが強いのが特徴です。

7

松本地域

「コシヒカリ」を中心に「風さやか」も多く栽培されています。酒造好適米の栽培も盛んです。
長野県のほぼ中央に位置し、西に北アルプス、東に美ヶ原高原を望む県内でも有数の農業地帯です。
標高差やミネラルを豊富に含んだ北アルプスの雪解け水を活かした、質の高い米づくりが行われています。
松本市・安曇野市などを有する本地域は、県内最大の米の産地です。

8

北アルプス地域

「コシヒカリ」を中心に「ゆめしなの」も栽培されています。酒造好適米の栽培も盛んです。
3,000m級の高峰が連なる北アルプス(飛騨山脈)の麓に位置し、雄大な自然景観を生かした国際的な山岳リゾートとして通年で多くの観光客が訪れます。
農業では水稲(コメ)が主要作物であり、農業生産額の約4割を占めています。「日量70万トン」の豊富な伏流水と、北アルプスの固い岩盤による地層で長期間ろ過された、全国的にも非常に稀少で高品質な「超軟水」の地下水、標高による大きな寒暖差が、粘りと甘みの強い米を育み、県内でも有数の良質米の産地となっています。

9

長野地域

「コシヒカリ」を中心に「風さやか」も多く栽培されています。
千曲川と犀川が合流する平坦で肥沃な「善光寺平」と、それを取り囲む山々で構成される多様な地形が特徴。
少雨・多日照・寒暖差という内陸性の気候を活かした全国有数の園芸農業地帯です。
長野地域の米は、生産量こそ果樹やきのこに譲りますが、粒の揃いや光沢など非常に高い全国トップクラスの品質を誇ります。

10

北信地域

「コシヒカリ」を中心に「風さやか」も多く栽培されています。
千曲川に沿って形成された盆地(平坦地)と、それを取り囲む峻険な山地によって構成される全国有数の豪雪地帯で、雪の重みに耐えるブナの自然林が広がり、ブナの林は雪解け水を浸透させ、森林の栄養分と豊富な水を供給しています。
盆地の縁には、支流が山から運んできた土砂が積もってできた傾斜があり水はけが良い「扇状地」が広く発達しています。
きのこ栽培と傾斜地を活かした果樹栽培を主軸とする、長野県内でも非常に農業が盛んな地帯です。
飯山市や木島平村、野沢温泉村などは良質米の産地として知られ、かつては生産量が少なく、その美味しさから市場に出回る前に消費されてしまうことが多かったため「幻の米」と呼ばれていました。

「水系」

信州・長野県には8つの水系があり、そこに多くの支流が合流し田畑を潤しています

長野県 水系マップ

信濃川水系/本流:千曲川

日本一の流量を誇る大河・信濃川の本流は千曲川として佐久・上田・長野・北信の4つの地域を、県内最大の支流である犀川は松本・北アルプスの2地域を潤し長野市内で合流します。

【流域市町村】
■佐久地域:佐久市、小諸市、軽井沢町、御代田町、立科町、東御市(一部)、佐久穂町、小海町、 南牧村、南相木村、北相木村、川上村
■上田地域:上田市、東御市、長和町、青木村
■長野地域:長野市、須坂市、千曲市、坂城町、小布施町、信濃町、飯綱町、高山村、小川村
■北信地域:中野市、飯山市、山ノ内町、木島平村、野沢温泉村、栄村
■松本地域:松本市、塩尻市、安曇野市、筑北村、麻績村、生坂村、山形村、朝日村
■北アルプス地域:大町市、池田町、松川村

利根川水系/本流:烏川・吾妻川

関東1都5県を流域とする日本最大級の河川・利根川水系は、群馬・新潟県境の大水上山(標高1,834 m)を主水源としていますが、長野県を源流とする烏川・吾妻川も「最初の一滴」を育んでいます。

【流域市町村】
佐久地域の軽井沢町

富士川水系/本流:釜無川

長野・山梨県境の鋸岳(標高2,685m)を源流とする長野県・山梨県・静岡県を流れて駿河湾へ注ぐ一級河川。最上川・球磨川と並ぶ日本三大急流の一つ。

【流域市町村】
諏訪地域の富士見町、原村

姫川水系/本流:姫川

白馬村に源を発し新潟県糸魚川市で日本海に注ぐ、全長60km・標高差は約1,200mの日本屈指の急流河川です。

【流域市町村】
北アルプス地域の白馬村、小谷村

関川水系/本流:関川

新潟県・長野県境の焼山を源流とし日本海へ注ぐ、全長64km、流域面積1,140km²の一級河川。全国有数の豪雪地帯を流れるため春の雪解け水が豊富で、急流かつ落差が大きいのが特徴です。

【流域市町村】
長野地域の長野市、信濃町、北信地域の飯山市

木曽川水系/本流:木曽川

長野県の鉢盛山(標高2,446m)を源流とし、年間降水量が約2,200mmから3,000mmに達する多雨地帯を流れる長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県の5県にまたがる広大な流域を持つ一級水系。

【流域市町村】
木曽地域の木曽町、上松町、南木曽町、木祖村、王滝村、大桑村、松本地域の塩尻市(旧楢川村など)

天竜川水系/本流:天竜川

長野県の諏訪湖を源とし、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷を南下する急流で、長野・愛知・静岡県を経て遠州灘へ注ぐ、全長213kmの一級河川です。

【流域市町村】
諏訪地域の岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町、塩尻市、上伊那地域の辰野町、箕輪町、南箕輪村、伊那市、宮田村、駒ヶ根市、飯島町、中川村、飯田市、松川町、高森町、阿智村、平谷村、根羽村、下條村、阿南町、売木村、泰阜村、喬木村、豊丘村、大鹿村、天龍村

矢作川水系/本流:大川(平谷川)

長野県の大川入山(標高1,908m)に源を発し、愛知・岐阜・長野の3県を流れ三河湾へ注ぐ、流路118kmの一級河川。

【流域市町村】
南信州地域の平谷村、根羽村

※「一級水系」は、国土保全や国民経済上特に重要な水系として政令で指定された109水系の総称です。その水系内で国土交通大臣が指定し、国(または委託を受けた都道府県)が管理する主要な河川が「一級河川」です。

「品種」

日本では約300品種の主食用米(うるち米)が栽培され、いまも食味(甘み・粘り・硬さ)、粒の大きさ、収量、対病性、耐候性などを改良した新品種の開発が全国の農業試験場などで続けられています。
コシヒカリ、あきたこまち、ひとめぼれなどのような全国で栽培される品種のほかに、最近では自治体(道・府・県)の農業試験場が開発し、栽培を自治体内の生産者に限定した品種も少なくありません。
長野県で栽培される主な主食米の品種をご紹介します。

コシヒカリ

日本の作付1位の品種で全収量の1/3を占める。強い粘りと甘み、ツヤがあり、どんな料理にも合う。県内でも幅広い地域の平坦部で栽培され、全収量の約7割を占める。

あきたこまち

主に諏訪・大北エリア、その他県内の中山間部を中心に栽培されているコシヒカリに次ぐ主力品種。強い旨みと粘り、さっぱりとした後味が特徴。粒はやや小ぶりで透明感があり、冷めても硬くなりにくい。

風さやか

平成25年に登録された長野県農業試験場育成のオリジナル品種。程よい粘り、あっさりとした上品な甘み、「もっちり」した食感が特徴で保存や再加熱しても美味しい。猛暑でも品質が落ちにくい高い栽培適性を持つ。

ゆめしなの

長野県農業試験場育成のオリジナル品種。寒さに強く、県内でも標高が高い白馬村、原村、小谷村など一部の地域で栽培される希少品種。小粒で独特の食感とおいしさが特徴。8月末から収穫できる極早生品種で、病害虫に強い。粘りは少なく、ほんのりとした甘みで冷めてもおいしいので弁当やおにぎりに適している。

きらりん

長野県農業試験場が開発した、高冷地向けの極早生品種。長野県内で最も標高の高い1,000m以上の地域で栽培され、8月中旬から収穫できる。小粒で独特の食感とおいしさが特徴。

つきあかり

大粒でコシヒカリに準ずる良食味の早生品種。業務用多収米として育成されたが、優れた食味で全国的に注目を集めている。

にじのきらめき

コシヒカリに似た食味で粒が大きい。猛暑でも品質が落ちにくく、コシヒカリと比較して収穫量が約15%〜30%多いため、業務用米として高い注目を集めている。

天竜乙女

南信州地域の天竜川流域で栽培されている晩生品種。やや粘りが強く、炊飯時の外観が良好。南信州独自の品種として地域に根付いている。

ミルキークイーン

コシヒカリの突然変異から生まれた低アミロース米。もちもちとした強い粘り、濃厚な甘みが特徴。冷めても硬くならず、つややかな光沢があるのでおにぎり、お弁当にも適している。

「栽培方法」

米の栽培方法は、大きく分けて水田で育てる「水稲(すいとう)」と畑で育てる「陸稲(りくとう)」の2種類がありますが、雑草の繁殖を抑えやすく安定した収穫が望めるため、日本では「水稲」が一般的です。
苗代で育てた苗を、代かきした水田に植える移植栽培のほか、省力化のため直接種をまく「直播栽培」があります。
また、環境への配慮に基づいた肥料・農薬の使用方法によって、下記のような栽培方法があります。

慣行栽培

行政やJAの防除基準に基づいて化学肥料や農薬を適切に使用する、各地域で一般的に行われている、効率的かつ安定的に作物を育てるための栽培方法。
日本の流通量の99%以上を占めている。
特別栽培(農薬・化学肥料を50%以下に削減)と比較される際の「基準」となる。

「信州の環境にやさしい農産物認証」

長野県独自の制度であり、平成21年度から取り組んでいる。慣行栽培と比較して、節減対象農薬と化学肥料の窒素成分量をそれぞれ50%以上(果樹は30%以上の設定もあり)減らして栽培している農産物が対象。
書類審査に加え収穫前の現地確認を経て長野県知事が認証する。

長野県原産地呼称管理制度

長野県独自の制度。「信州の環境にやさしい農産物認証制度」の認証基準に準ずる栽培法で生産され、長野県原産地呼称管理委員会米委員会および長野県原産地呼称管理委員会米官能審査委員会によって審査され、基準に適合したもののみを認定する。

エコファーマー認定(新たな農業者認定制度)

2022年に施行された「みどりの食料システム法」に基づき、持続性の高い農業生産方式(「堆肥等による土づくり」「化学肥料の低減」「化学農薬の低減」「温室効果ガス削減等の環境負荷低減」)に取り組む生産者を都道府県知事が認定する。

特別栽培米

農林水産省のガイドラインに基づき、慣行栽培と比較して、節減対象農薬と化学肥料の窒素成分量をそれぞれ50%以上減らして栽培されたお米。農薬や化学肥料が少ないため、除草作業の手間や、病害虫による収穫量減少リスクがあり、農家の管理コストが高い。

有機JAS栽培

農林水産省が定めた「有機JAS規格」の基準をクリアし、登録認証機関から認証を受けたお米。原則として、田植えの前からさかのぼって2年以上、化学的に合成された農薬や肥料を使用していない田んぼで栽培される。外部から農薬が飛来しないような対策や、生産管理記録の作成など、第三者機関による厳格な審査と毎年の調査が必要とされ、農家の管理コストが高い。